先日、とある静岡のメディアの方から一本の電話がありました。
「今、中国が渡航自粛をしていて、インバウンドを扱う旅行会社としてコメントをいただけませんか?」
という問い合わせでした。
あいにくその日は、弊社のインバウンド担当の河内が不在だったため、丁重にその旨をお伝えして電話は終わりました。ただ、その後ふと考えたのです。
「実際、弊社に中国市場の影響はどれほどあるのかなぁ」と。
結論から言うと、ここ1年以上、弊社では中国からのお客様の手配はゼロ。被害はまったくありません。
「していない」というより、「依頼が来ない」という方が正確です。
過去には数件ほど手配実績がありますが、いずれも日本在住の中国の方が間に入っている案件でした。
なぜ現地からの直接依頼がないのか?
理由は明確で、
① 弊社と現地の旅行会社とのパイプがまだ弱い
② 価格競争が激しすぎて太刀打ちできていない
たぶん、この2点が大きいと感じています。
特に②は顕著で、中国市場は「価格がすべて」と言っても過言ではありません。小さな地域旅行会社が参入するには、体力面でも交渉力でも厳しい状況です。
インバウンドは「外的要因リスク」を常に抱えている
今回の渡航自粛の話題に触れながら、あらためて思い出しました。
インバウンドは外的要因に大きく左右される業種だということ。
少しさかのぼるだけでも、
- 「地球滅亡」の噂で海外客が激減した年
- 地震・台風・洪水などの大規模災害
- 感染症
- そして今回のような政治的理由
こうした“自分ではどうにもできない外的リスク”で、インバウンドは一気に止まってしまいます。
さらに国内旅行と決定的に違う点は、
いったんキャンセルが入ると、回復に最低でも1〜2か月はかかること。
日本人の国内旅行なら、情勢が落ち着けば数週間で戻ることもありますが、海外マーケットは航空便、ビザ、などの関係があります。
だからこそ戻るまでに時間がかかる。
私はインバウンドに参入した時からずっと危機感を持っていて、弊社が国内手配・団体手配を続けているのも、このリスク分散が理由のひとつです。
それでも興味はある。今の大阪・道頓堀はどうなっているのか?
個人的な話ですが、道頓堀周辺には「中国からの観光客が圧倒的に多い」というイメージが強くあります。
今回の渡航自粛で、街の様子がどう変わったのか、現場を見てみたい気持ちは正直あります。
インバウンドは外的要因で揺れます。
観光業に携わる者としては、早く、この騒動も落ち着くことを祈っています。
