旅行業をやっていて、時々「旅行って前払いなんですか?」と聞かれることがあります。
実はこれ、他業種の方からするとけっこう驚かれます。
建設業や製造業など、モノやサービスを提供してから代金が支払われる業界では、入金サイクルが60日、90日と長くなることが多いと聞きます。
その点、旅行業は「旅行前にお金が入る」という点で、優れたキャッシュフロー構造なんです。
たとえば、社員旅行や研修旅行などを企画した場合、旅行代金は出発の10日前や1か月前にはお預かりすることがほとんどです。
これは、宿泊や交通機関の手配を行う際に、旅行会社が前払いで支払う必要があるから。
だから旅行会社にとっても「旅行前に入金していただく」ことが非常に重要な仕組みだったりします。
旅行契約は「申込金」から始まる
意外と知られていないのが「旅行契約はいつ成立するのか」という点です。
旅行業法では、旅行契約は「旅行者が申込金を添えて申込みをし、旅行業者がこれを承諾したとき」に成立すると定められています。
つまり――
申込金を受け取って初めて契約成立。
申込金を受け取らないうちは、契約がまだ「成立していない」ということなんです。
この申込金は、最終的な旅行代金の一部として扱われ、旅行開始までに残金をお支払いいただく、というのが基本的な流れです。
申込金 → 残金 → 出発、という順番ですね。
「申込金なし」で契約できる特約もある
とはいえ、実際には「申込金なし」というケースも存在します。
たとえば学校関係や公的団体、大企業など、組織としての手続きが複雑な場合には、「申込金の特約」という形で申込金を省略することができます。
弊社では、まさにこのパターンが多いです。
学校や行政関係のお客様の場合、申請書や契約書、決裁などの関係で申込金の入金が難しいこともある。
そのため、「申込金は省略し、旅行代金は出発前にご請求する」という形をとっています。
それでも、出発前にご集金させていただく割合はおそらく全体の80%近く。
旅行前に入金が完了しているというのは、他業種に比べてもかなりありがたいルールだと思います。
それでも「後請求」になるケース
もちろん例外もあります。
学校や幼稚園、公的機関の中には、出発後にまとめて精算する仕組みをとっているところもあります。
この場合は旅行終了後に請求書を発行し、後日入金という流れになります。
また、正直に言うと、繁忙期には「請求書を出し忘れていた…!」なんてこともごくまれにあります(笑)。
そうしたときは「後請求」という形になりますが、基本的には例外の部類になります。
ごくまれに
太っ腹な社長さんとかがいらっしゃって、旅先でいろいろ追加があるかもだからと多めに入金をいただきまして、結果、旅行終了後にご返金なんてこともあります。
ほんとうにありがたい話です。
