「団体旅行」の手配の話①|ホテル・旅館

静岡で旅行会社やっていて、インバウンドの記事ばかり出してるから、うちの会社がインバウンドばかりやっていると思われることが増えてきたんですが…
実は、いまだ全体の売上の7割くらいは、昔ながらの「団体旅行」の手配だったりします。
僕自身、国内団体旅行は30年近くやってきました。正直、インバウンドよりこっちの方が詳しいです。
コロナがあけてからというもの、旅行業界もすっかり変わりました。なかでも、団体旅行の「宿泊」の手配は、以前よりずっと難しく、細かく、そして…テクニックが必要になってます。
今日は、そんな裏側の話をちょっとだけ。


旅館の宿泊費が爆上がりしている件
たとえば、コロナ前なら1泊2食付きで「平日9,000円」みたいな旅館、いくらでもありました。
今どうかというと、そんな価格の宿、ほぼ絶滅してます。
先日、三重の有名旅館の営業の人と話したのですが、「いまは13,000円。秋から15,000円になります」と言われました。もちろん平日料金です。

ここまで書いて何なのですが、僕はこれはこれで悪いことじゃないと思ってます。むしろ「旅館・ホテルはもっと稼いでいい!」と応援してる派です。

でも、団体旅行の世界だと「去年の価格をもとに、今年の予算が決まる」んです。だから値段が大きく上がると、お客さんに説明するのが本当に難しい。
「え、そんなに高いの?」ってなる。いやいや、いままでが安すぎたんです、とは言うけど、予算が合わないと話が進まない…。


宴会場のある旅館が激減中
あと、これは団体旅行ならではの悩みですが、「宴会場付きの旅館」がどんどん減ってます。
たとえば伊豆半島。旅館の数は多いけど、200人入れる宴会場を持ってる宿って、今や数えるほどしかない。10年前はもっと選択肢あったんですけどね…。
「食事はバイキングで、テーブルごとに自由に」っていうスタイルが増えてる今、ザ・宴会!って雰囲気の宿はほんとに貴重になってます。


部屋の確保が一発じゃ決まらない時代
そして最大のテクニカルポイントがここ。
旅館やホテルの予約は、すべてが宿の予約係の手元にあるわけじゃないんです。
じゃらん、楽天トラベル、エクスペディア、さらには大手旅行会社など、いろんなルートに「この日は〇室」って配分されていたりします。
よくホテルに電話すると「満室です」って言われても、じゃらんを見たら予約できる、みたいなことがあると思います。
なので、うちみたいな旅行会社が「このホテルに80部屋手配」ってなったら、かなりの確率で2つ以上の仕入れ先から予約します。
たとえば、
・ホテル本体から50部屋
・エクスペディア経由で20部屋
・某旅行会社の枠で10部屋
みたいに、複数の仕入れ先を駆使して、パズルみたいに部屋を組み立てます。

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6ホテル、586泊、このような手配の場合、「9つの仕入れ先」を駆使して手配したりしています。
正直、「同じホテル」の「同じ部屋タイプ」でも金額やキャンセルポリシーが違ったりして超絶むずかしいです。
まじでスーパーテクニカルです。


見積もり、実は地味に大変です
「見積もりを出すだけでも」この作業をやります。
お客さんに3つのプランを出すってなったら、この確認作業×3!
「空いてるか」「宴会場あるか」「何部屋とれるか」「金額はいくらか」これを3回分。
「え? まだ契約してないのに、そこまでやるの?」って思うかもだけど、そうしないとお客さんに提案できない。
でもこれが、仕事なんです。


団体旅行って、地味だけど奥が深い。
コロナで変わったことも多いけど、団体旅行の手配って、やっぱり「現場力」が大事だったりします。
宿の仕入れ先をどう使うか、宴会場のキャパをどう読むか、予算にどう合わせるか…などなど。
インバウンドも大事。でも僕は、この「団体旅行のノウハウ」も大事にしたい。

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