旅館の「布団はセルフでお願いします」に思うこと

先日、とある有名旅館の手配をしました。全国的にも名前が知られ、立地もサービスも“それなり”に評価されている旅館です。この間はテレビで特集もされていました。

ホテルとの最終確認でお客様に伝えておくことありますか?と聞いたら「お布団は部屋の隅に畳んでありますので、お客様ご自身でお敷きください。シーツもセルフでお願いします」

……え? マジで?

和室の定員で、1泊2食付、週末で1人25,000円前後。
まあまあなんです。
これまでの「旅館の常識」からすれば、この“布団セルフ”には戸惑いを覚えずにはいられませんでした。

旅館側の事情も、わからないわけではないのですが。
その旅館は数年前に外資系に変わっていて、コロナ禍の苦しい経営を乗り越えるため、収益確保と人件費削減を徹底してきたと聞きます。営業担当者からも、「週末は必ず満室にしろと上から言われているんです」って聞いていて大変だなぁと思っていました。
実際、いまこの旅館は、ほぼ毎週末が満館。平日も団体や個人客でかなり稼働しているようです。
そう考えると、「布団は自分で敷く」というスタイルでも、お客様は受け入れているということなのかもしれません。

ただ、以前に年配の女性のお客様からこんな言葉を聞いたことがあります。
「旅行で一番うれしいのは、上げ膳据え膳。家では絶対味わえないからこそ、旅館に泊まる」と聞きました。

時代が変わって、最近では最初から布団が敷かれているスタイルの旅館も増えています。私はそれすら、ちょっと味気ないと思っていたのですが、今回はそのさらに上を行く「完全セルフ」。シーツの向きに悩みながら布団を敷く姿が、果たして“非日常”なのかどうか……。

それでも満館なのだから、いまの時代にはこれが正解なのかもしれません。

だけど、少なくとも私は、自分のお客様には積極的におすすめしにくい、と感じてしまった。

冗談なのか、本気なのか、担当者と電話で
私「いよいよ、布団を敷くところまできましたか笑」
担当者「加藤さん、押し入れから布団を出してくださいとは言っていませんよ笑、コーナーに置いてあります笑」

あまり笑えなかったです。
ちなみにどこの旅館かはナイショです。

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