団体旅行の手配③|観光バス編


今回は団体旅行の手配シリーズ第3弾、「観光バス編」をお届けします。

バス手配は旅行業務の難所
団体旅行を扱っていて、正直いちばん面倒なのが観光バスです。
料金の仕組みがとても複雑で、距離と時間で決まり、さらに最低料金が法律で定められている。タクシーに似ていますが、バスの場合は「ハンドル時間」など運行制限がかなり厳しい。
しかも、料金の下限を切るとバス会社だけでなく、手配した旅行会社まで処罰対象になります。
知り合いの旅行会社さんの話ですが、ある案件で、見積り段階では合法の金額だったものの、実際の走行距離で計算すると下限値を1500円を下まわってしまった。
それをバス会社が見逃していたらしく、結果、旅行会社側が処罰されたそうです。それ、旅行会社の責任?? あまりの厳しさに驚きました。

バスの種類と台数不足問題
観光バスの種類は大きく分けて、大型・中型・小型の3種類。メーカーも三菱ふそうか日野しかなくて(たしか)、外観のカラーリングは違っても、車体や設備は大差ないのが現状です。

問題は台数とドライバー。
コロナ禍で減車したことに加え、ドライバー不足が深刻で、予約が取りにくいです。特に学校団体が動く金曜日は、ほぼ空きがないと思った方がいい。
料金も距離と時間で変わるので、本来であれば、行程表を作らない限り見積りが出せません。だから、素人が直接バス会社に頼むのはとても難しいと思っています。たとえばディズニーランドなど、途中でドライバーを仮眠させて安くする裏技もありますが、こうした工夫は知っている人でなければ気づけないポイントです。

さらにドライバー不足の影響で、翌日の業務を考え、夜が遅い帰着は断られるケースも増えています。


営業エリアという大きな壁
もうひとつ厄介なのが「営業エリア」の規制です。バス会社は営業所のあるエリア内で配車か解散をしないといけないルールがあり、例えば静岡のバス会社が羽田空港でお客さんを乗せたら、解散は静岡でなければいけません。同じお客を羽田で乗せて羽田で降ろす、という運行はできないのです。
これがインバウンド案件では特に難題です。羽田空港でお客を受けて関西国際空港で解散したい、というケースがよくありますが、この規制があるため手配は超難題。
どうせ距離と時間で料金が決まる仕組みなら、エリア規制は廃止してもいいのでは?と思っていて、だれか議員さん!お願いします。

バスは本当に得をしているのか?
厳しい規制のせいで、受けられない仕事や料金が高騰して鉄道移動に切り替えられるケースも増えています。本当にバス会社が得をしているのか疑問に思うときもあります。
たとえば静岡から羽田空港の送迎。1台にかなりの人数が乗らないと、新幹線移動のほうが安い。結果、空港送迎バスの手配はかなり減少しています。

また、インバウンドの問い合わせでは、信じられないような安い料金を提示する海外の旅行会社がいまだあります。聞いてみると「その値段で運行しているバス会社がある」とのこと。きちんと守っているバス会社や旅行会社が1500円で処罰される一方で、モグリの業者がガンガン稼働している。
闇が深いです。

弊社もお断りするケースも
正直手間がかかりすぎるため、単純なバスの合見積り依頼は、お断りするケースがあります。たまに役所や学校から「バスの見積合わせ依頼」みたいなメールが来たりしますが、上記のような状況なので、まったく知らないところからの依頼はお断りするときがあります。


それでも料金アップには賛成
ここまで問題点を並べましたが、私は規制強化と料金アップには賛成派です。というのも、以前はバス料金が安すぎて、新車を導入できないほど厳しい時代もありました。それを考えれば、今の状況の方が健全だと思うのです。

観光バスは団体旅行の要です。規制や料金のハードルが高いので旅行会社が介入する意義があると感じています。

昔は旅行中に行程を少し変えたり、帰りにお腹が空いたからみんなでおそばを食べたり、自由なのもバスの魅力だったように思います。規制も必要ですがそんな要素も残してもらえるといいなぁと思っています。

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