前回の弊社のインバウンド担当社員がリモート採用しているお話をしました。リモート社員についてメリットデメリットなどを書きたいと思います。
弊社・中央観光トラベルは、静岡市にある社員数5名ほどの小さな旅行会社です。
団体旅行や企業向け研修旅行、そして近年はインバウンド(訪日旅行)にも力を入れています。
そのインバウンド事業の中核を担ってくれているのが、岡山在住の“リモート社員”、河内さんです。
応募してくれた当初から、物理的に毎日出社するのは難しい方でした。
でも、英語も堪能で、未経験者ですが旅行業界にも理解があり、なにより「一緒にチャレンジしてみたい」と思わせてくれる方だったので、リモート前提で採用を決めました。
リモート勤務の現実
現在も基本は岡山からのフルリモート勤務。1~2月に1回、静岡に出張してもらっています。
普段は、毎朝Zoomで30分〜1時間程度ミーティングを行い、業務のすり合わせや報告・相談を行っています。
ここで少し、「リモート社員のメリット」と「デメリット」を、私の実体験から正直にお伝えします。
メリット①:人材の可能性が広がる
リモートを前提にすることで、「地元に住んでいる人材」ではなく、「全国どこにいても能力のある人材」と出会える可能性が広がります。
弊社の場合も、英語ができて、ツアー手配や海外対応のセンスもある河内さんと出会えたのは、まさにこのおかげです。
メリット②:業務の見直しと分散が進む
リモートで働いてもらうには、仕事の内容を「言葉で説明できる形」にしておく必要があります。
つまり、業務が“見える化”され、自然と整理されるようになります。
また、対面じゃない分、特定の人しかできない業務を減らす必要がある。
結果として、仕事の属人化を防ぎ、誰でもできる仕組みに近づいていくのです。
メリット③:柔軟な働き方との相性が良い
インバウンド業務のように、時差や言語、文化の違いがある仕事では、従来の「9時〜17時勤務」の枠には収まりません。
リモート勤務の社員なら、その人のライフスタイルに合わせて、柔軟に対応してもらえる。これは大きな強みです。
デメリット①:成長スピードが落ちる
正直に言うと、同じオフィスで働く場合と比べて、仕事を覚えるスピードは3倍遅いと思っています。
リアルタイムでの「空気の共有」や「ちょっとした声かけ・アドバイス」ができない分、どうしても時間がかかります。
デメリット②:フォローがしづらい
近くで一緒に働いていれば、「困ってるな」とすぐに気づけます。
でも、リモートではその感覚が鈍る。だから、助けるタイミングを逃すことが多いです。
デメリット③:リアルな現場で守れない
たとえば以前、フィリピンからの団体旅行で、かなりクセの強い添乗員がついてきたことがありました。
35名のグループで、食事の内容を直前に変えろとか、キャンセル料を払わないと言い出したり。
現場では、ある程度強く「NO」と言う必要がある交渉ごとってあるんです。
河内さんはすごく丁寧に対応していたけれど、結果的にかなり苦労をかけてしまった。
もし同じオフィスにいたら、自分が途中で出て行って「もう大丈夫、ここからは引き取るから」と助けられたと思います。
それでも、リモート社員という選択は「アリ」だと思う理由
「業務委託」や「外注」もひとつの方法です。
でも、“チームの一員”として責任を持って動いてくれるリモート社員の存在は、それとは少し違います。人件費が限られている中小企業こそ、リモートという形で、力のある人材とつながるチャレンジはありだと思っています。